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2009年5月27日水曜日

森博嗣一気読み

女王の百年密室 幻灯舎文庫
冷たい密室と博士たち 講談社文庫
笑わない数学者 講談社文庫
詩的私的ジャック 講談社文庫
封印再度 講談社文庫

『女王の百年密室』以外は犀川助教授、西之園萌絵コンビシリーズ。
このシリーズは『すべてがFになる』を読んで以来お気に入りなのです。

理系ミステリーと称されるこのシリーズ、完璧なアームチェア・ディテクティブで、必要な情報が得られれば、タバコを数本吸ってる間に方程式を構築して解を得るかのように謎を解いていく様は、数学的でもある。

「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」

これは、シャーロック・ホームズの言葉であるのだけど、似たようなセリフが幾度か出てくる。

そしてまた、「動機」を重要視しない、と云うか、ほとんど無視してるのが特徴的。

おかげで、ミステリーにありがちな恨み、妬みのドロドロとした背景が無く、気軽に読めるミステリーと云った雰囲気。

『女王の~』は、可も無く不可も無く、暇つぶしには良いかな。

2009年1月22日木曜日

陰摩羅鬼の瑕

京極夏彦著 講談社文庫

百鬼夜行シリーズ第8弾、相変わらず分厚い、1200ページ。
800ページを過ぎてからやっと事件が起きる、それまで過去の事件や登場人物の描写や妖怪談義やらでじわじわと盛り上げていく。

今回のキーワードは陰摩羅鬼、生きて居るコト(存在するコト)、儒学、境界、辺りかな。
一歩引いたところに林羅山がいる、京極堂は、この僧形の儒学(朱子学)者に就いて言及し、日本人の仏教観、道徳規範に儒学(朱子学)的思想が刷り込まれている仕掛けを明かしている。
全くこの作者はおいらが知りたかった事、欲している知識を深く、且つ分かり易く京極堂に語らせている、いやもうまったくである、ここだけでも読んだ価値があるね。

そして、事件が起きる、犯人の存在しない事件が。
いつものように京極堂が憑物を落す、いつものように何かが壊れる、否、破壊される。
そうしていつものように深い悲しみと瑕が残る。
 

2009年1月8日木曜日

陰陽師 ―瀧夜叉姫―

夢枕獏 著 文春文庫

ここのところ本屋に行ってなくて、読む本が無くなり、京極堂シリーズを最初から読み直してたりしてたが、先日やっと十数冊ほど仕入れてきた。

先ず最初に読んだのがこの「瀧夜叉姫」。
御存知の陰陽師シリーズだが、珍しく長編。
今回のお相手は、彼の怨霊平将門である。
しかし、最後に退治したのは、将門を操っていた興世王、のふりをしていたあの人。

相変わらずマイペースな晴明であるが、全編に渡っていつもより緊張感が漂っている。
お馴染みの蘆屋道満もいい味だしてる。

しかしこの作者、源博雅、俵籐太秀郷のような、いい男ではなく、好い漢を書くのがうまいね。
対して、夢枕獏の書く好い女ってあんまり思い浮かばない、今回の桔梗も登場回数が少なく、描写が少ないのであんまり印象に残らない。
 

2008年10月24日金曜日

画図百鬼夜行全画集

鳥山石燕作 角川ソフィア文庫
「画図百鬼夜行」「今昔画図続百鬼」「今昔百鬼拾遺」「百器徒然袋」を一冊にまとめた、なんて豪華で贅沢な本なんでしょう。


鳥山石燕(とりやませきえん)1712~1788年、本名は佐野豊房、狩野派の代表的な絵師で、日本や中国の古典、各地の伝説や民間伝承に精通し、当時の江戸の文化人が一目置くほどの博学者だったようです。

また、太田南畝と交流が深いようで、石燕が創作したと思われる妖怪はなかなかにユーモラスである。


「百器徒然袋」で気になったんだが、最初の一枚と、最後の二枚が「宝船」で、間に二十五の付喪神がいるのは何故だろう。

画に書いてある文を読んでみると、最初の「宝船」には「ながき世のとをのねぶりの」で、七福神は皆寝てるんですね。

で、その後の付喪神の文には最後に必ず「夢のうちにおもひぬ」「夢の中におもひぬ」「夢ごゝろにおもひぬ」等と書かれていて、最後の二枚の「宝船」は「みなめざめ」「波のり船のおとのよきかな」である。

と言うことは付喪神は七福神の夢の中の出来事?
いやいや、それは短絡過ぎるな。

最後の二枚は「宝船」と題しているが船は描かれてない、どう見ても陸の上だ。
つまり、世の穢れを夢に顕して船で流してしまった、ということかな。
故に「宝船」の画を元旦の夜に枕の下に入れ、夢祓えの獏の符として使うようになったのか。

「宝船」の文を全部繋げると、
「ながき世のとをのねぶりのみなめざめ波のり船のおとのよきかな」で、濁音を消してひらかなにすると、
「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな」となり、逆から読んでも同じになる回文となる。
  

2008年10月1日水曜日

すべてがFになる

森博嗣著 講談社文庫 解説 瀬名秀明

第1回メフィスト賞を受賞した作品であるが、この賞自体が森をデビューさせる為に設けたとも言われてる。

瀬名が、絶賛してます。
森も某国立大の工学部助教授で研究者であり、「理系作家」「理系ミステリー」などと呼ばれてる。
この辺からもう食指が動き出すよね。
さらに、解説には京極夏彦との類似性が感じられると書かれている。
おいらのツボに嵌りましたね~。

筆が速いのか、次々と作品を発表しているようで、しばらく読むものに困らないな。

因みに、『発音がうまくならないと英会話は上達しない』は同性同名の他人の著作です。
  

2008年9月27日土曜日

QED六歌仙の暗号

高田崇史著 講談社文庫

QEDシリーズの第2弾、今回は六歌仙と七福神である。

六歌仙とは、古今和歌集の仮名序に選者の紀貫之が「近き世にその名きこえたる人」として挙げた歌人のことで、僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大友黒主の6人。
しかし、仮名序では、彼らを決して褒めてはいない、大友黒主などは「そのさまいやし」と言われてる。
紀貫之の真意は?七福神の正体と六歌仙との関係は?

ストーリーはね、殺人事件が起きたり起きなかったり、事件が解決したりしなかったり、どーでもいいです。

いや、でも、このシリーズおもしろいなぁ。
嵌まったかな。
  

2008年9月16日火曜日

最近読んだ本

「水霊」(ミズチ)田中啓文著角川ホラー文庫、「清明百物語」富樫倫太郎著徳間文庫、「QED 百人一首の呪」高田崇史著講談社文庫、「カムナビ」「二重螺旋の悪魔」梅原克文著角川ホラー文庫。

まあ、面白く読ませてもらったのだが、今ひとつ感動が無いというか、読み終わってからの余韻が無い、なんか呆気に取られた感じ。
これらの作品は、どれもかなりの資料と取材を基にされているようで、どちらかというと小説としてではなく資料として手元に置いておこうと思ってる。
特に感じ入ったのは百人一首を胎蔵界と金剛界の曼荼羅に配置した「QED」、著者は古の言霊信仰を良く理解していると思う。

ストーリーはね、藤木稟や夢枕獏くらいに読ませてくれたらもっと良かったんだけどね。

以前、亜理さんから薦められた村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は上巻を手に入れたが下巻はまだ、揃ってから読もう。
もう一つ岩井志麻子?(だっけ)の「ぼっけえ、きょうてえ」は手に入れたが、何処にいった?

次に読むのは司馬遼太郎の「妖怪」、司馬遼が妖怪だって!なんか面白そうだよね。
早速読み始めよう。
  

2008年8月7日木曜日

風雲児たち

みなもとたろう作 リイド社

今日も帰りにBOOK・OFFに立ち寄ってきたのですが、まぁ、いつも一時間以上長居しますね。
立ち読みはあまりしないです、小説とかだと解説を読んだりしますけどね。

で、今探してるのがこの「風雲児たち」です。
なかなか出物が無くて、集まらないですね。

関が原から始まって、江戸時代、幕末篇と、史実に沿って当時活躍した人たちを、あの、みなもとたろう大先生がおもしろく、楽しく描いてます。
やはり、大先生は御自分が描かれるキャラには愛情を注いでいるようで、それぞれの人たちが何を思い、何を感じたかを慮って表現している様子がとても好い感じで、このまま歴史の教科書にしちゃえば良いんじゃないの、と思ってしまう。

今日は「幕末篇」の10巻をゲット、他に文庫4冊と漫画2冊〆て2215円、BOOK・OFF万歳(笑)
  

2008年7月29日火曜日

火車

宮部みゆき著 新潮文庫

おいらは女性の著作は好んで読まないです。
男性キャラが女性心理で言動することに違和感を感じることが多いからなのですが、この作品にはそういう違和感が無く、むしろ、洞察や心理描写、ストーリーの発展等で、「なるほど、女性が書いてるんだな」と、思わせる部分が非常に良い塩梅で好感が持てます。

ミステリーはあまり読まないので、こういうパターンは多いのか、稀なのかは判りかねるのですが、
失踪した女性の調査を頼まれ、調べていくに従い、驚くべき犯罪が浮かび上がってくる。
と、同時に彼女の生い立ちやこれまでに置かれた環境が露になっていく。
犯罪を立証し、犯人を逮捕するというよりも、彼女に逢って「なぜ?」「どうして?」「どうやって?」等、色々聴きたい、また、彼女に何か言ってやりたい、何を言えばいいのか?何を言ってやれるのか?
ラスト4ページで初めて登場した彼女の肩に手を置いて、物語は終わります。

これも一気に読める面白さです。
 

2008年7月4日金曜日

ヨコハマ買出し紀行

芦奈野ひとし作 講談社 アフタヌーンKC

漫画です。

見た目も(たぶん)中身もメカメカしいのとは全くちがった類のロボットのアルファさんが主人公です。
近未来、海面が上昇して、あちこちが水没し、荒廃した(と言うより古き良き時代っぽい)横須賀あたりのお話。

『お祭りのようだった世の中がゆっくりとおちついてきたあのころ、のちに夕凪の時代と呼ばれるてろてろの時間』

ドラマCDかなにかで椎名へきるが「てろっ、てろ」と読んだら、ファンからダメだしを喰らったそうだ。
溜めちゃだめでしょ、力を抜いてさらっと読まないと。(笑)

この「てろてろの時間」が好い。
夢枕獏の「陰陽師」シリーズに描かれる平安時代の、昼は雅な時間、夜は怪しい闇の時間、これらと雰囲気は違うが、流れる速さは似てる気がする。
こういうたおやかな時間が好きだ。

ストーリーはぬるいです。ぬるま湯です。しかし、非常に心地よい。
全14巻ですが、悪人は一人も出てきません。
が、センスがすごく良い、ストーリー、設定、絵、構図等。
飽きずに何度でも読める作品です。
 

2008年6月27日金曜日

BRAIN VALLEY上・下

瀬名秀明著 角川書店

前作「パラサイト・イブ」同様、一気に読ませる引力を持った作品です。
今回は2度目なのでじっくり読んだ。

詳細な先端の科学技術は膨大な資料を元にしている。
巻末の参考資料の多さは小説の域を超えてる。
その詳細な科学技術を書きつつも読者を飽きさせないどころか引き付けて離さないのが凄い。
随所にドラマチックさがあり、次に何が起こるかと、ワクワクさせられる。
さらに、各登場人物のそれぞれの立場や環境が非常にリアルであり、かなりの原場取材をしたのであろうと想像される。

しかし、瀬名秀明はそれだけではない。
後の「八月の博物館」「虹の天象儀」「ハル」等を読んで気が付いたのだが、彼は感動したがっている。
作家なのだから読者を感動させようとするのは当然だが、それ以上に彼自身が「感動」を求めているように思われる。

「BRAIN VALLEY」はエピローグに集約され、「記憶」や「神」や「奇跡」というのは、人が明日を生きるための物なんだなぁ、と言うのが、おいらのまとめ。

ちなみに、近年(いつかは知らない)NMDAR3A、Bと2つのサブユニットがクローニングされたそうだ。
R3自体はグルタミン酸を受容せす゛、R1とヘテロ多量体(複合体)を形成して働く。
 

2008年6月14日土曜日

「ゆらぎ」の不思議な物語

佐治晴夫著 PHP研究所

この本は、カオスやフラクタル、1/fゆらぎ、と言った物の入門書で、非常に分かり易く書かれていて、まるで佐治教授の講義を聞いているかのような感じです。
10年以上も前の本だけど、今でもたまに読み直す。

なによりもこの本の目玉は金子みすゞである。(笑)
著者自信が金子みすゞファンクラブの第一人者である事は有名で、この本にも13篇の童謡詩が載せられている。

中でも「星とたんぽぽ」は「空」(くう)を表し、「はちと神さま」は「再帰」「フラクタル」に通ずる。
素朴で純粋な感性は、実は真理に一番近い所にいるのか!?と思わせるくらいに深い。

この本の中の数学のおまけ、
ⅹ^0=1
1=0.99999999・・・・・・・・
それぞれ証明してみよう。

2008年5月23日金曜日

島 左近

佐竹申伍著

裏表紙の筒井順慶の文字に惹かれて(なぜ?)買ってしまった。
元は順慶の家臣だったんだ、知らなかった。
いずれ、主に恵まれなかったようだ。
「三成に過ぎたる物が二つあり、島の左近と佐和山の城」

もし、左近が前田利家の家臣だったら、いやいや、毛利のとこの吉川広家のかわりに島左近がいたら、(小早川のとこじゃ・・だめか、)歴史はどうなってたんだろうね。

さて、本編は、というと。
関が原に至るまでの背景にページが多く取られていて、島左近の登場が少なくないか?
まあ、込み入った時代ではあるからしょうがないのかな、
主人公に感情移入する間もなく、討ち死にしてしまいました。ww

文章力はあるのだから、他の作品に期待しよう。

2008年5月17日土曜日

京極夏彦

今、「百鬼夜行-陰」と云う、京極堂シリーズのサイドストーリー集を読んでる。

いや~、彼は天才、いや超天才作家だね、僕の中では瀬名秀明を超えて堂々ランキングトップを独走中。

特にこの京極堂シリーズは各篇が微妙に、且つ相互に絡んでいて、ストーリー自体も然る事ながら、彼の文才に驚愕してしまった。

しかし、「鉄鼠の檻」「絡新婦の理」なんかは、文庫で1300頁超。
気軽に持って歩けないだろ、持って歩かないけど。

「世の中に不思議な事は何も無いのだよ。」

でも、妖怪はいたのである。このストーリーこそが妖怪なのだ。