2009年1月22日木曜日

陰摩羅鬼の瑕

京極夏彦著 講談社文庫

百鬼夜行シリーズ第8弾、相変わらず分厚い、1200ページ。
800ページを過ぎてからやっと事件が起きる、それまで過去の事件や登場人物の描写や妖怪談義やらでじわじわと盛り上げていく。

今回のキーワードは陰摩羅鬼、生きて居るコト(存在するコト)、儒学、境界、辺りかな。
一歩引いたところに林羅山がいる、京極堂は、この僧形の儒学(朱子学)者に就いて言及し、日本人の仏教観、道徳規範に儒学(朱子学)的思想が刷り込まれている仕掛けを明かしている。
全くこの作者はおいらが知りたかった事、欲している知識を深く、且つ分かり易く京極堂に語らせている、いやもうまったくである、ここだけでも読んだ価値があるね。

そして、事件が起きる、犯人の存在しない事件が。
いつものように京極堂が憑物を落す、いつものように何かが壊れる、否、破壊される。
そうしていつものように深い悲しみと瑕が残る。
 

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